2024-07-06

Juke Box

   ジューク・ボックスって”Juke Box”? ”Jukebox”? ...どちらでもいいか。
   福生東口の、通称「赤線」と呼ばれる飲食店街で最も古いお店「Snack Yumi's」のジューク・ボックス。 代替わりを重ねて今の型番なのだそう。 今は軽量鉄骨らしき箱型の建物だが、20年ほど前まではこの界隈にはまだまだよく見られる木造にモルタル造で、店内は外国の匂いのするような内装だったらしい。
   かつてマスターはこの界隈で建設関係の仕事に就いていて、横田基地を始めジョンソンや立川や厚木など近辺の基地には全て出入りしていたのだそう。 そして何年かの後に独立してお店を始めたのだという。 開店は1967年。 今年で57年。 今はマスターをご子息に任せ、代は替わっているものの最古参。 界隈では「福生ラーメン」を謳う中華料理店が55年? 東京最古のディスコと言われるDISCO EDDIE'Sが50年。 今は店内は日本人の姿がほとんどだが、どのお店も「911」以前は米兵で混雑していたらしい。 言われてみれば壁一面に貼られた1ドル紙幣のうち、比較的新しそうなものに書かれた名前は日本名が多い気がする。
   カウンターに座ったまま、大マスターとママさんが持ってきてくれた20年前に取材されたという雑誌と1960・1970年代に福生で撮られたアメ車の写真集をめくりはじめ、ふた昔くらい前の人々や、クルマと街並みとに時の流れをあれこれ想像しつつすっかり見入ってしまった。
   暫くして何番目かにやってきたお客さんのカラオケが始まった。 80年代の当時きらめく歌謡曲。 急速に「日本のスナック」の空気が充満してきて、壁びっしりの紙幣は500円札に見えてくるしで段々に息苦しさを覚えてきた。 ちょうど名物だというBLTサンドも食べ終えたところで、持って行った1ドル紙幣はポケットに突っ込み直して店を後にした。 またいつかゆっくり訪ねてみたいと思う。
   そして、きょう店長さんが誕生日だというEDDIE'Sでしばし低音を浴びて駅に向かった。

   今日から日没の時間が早くなり始めている。