2024-07-17

スナックの裏手のソファ

   意外と雑多なスナック街。 駅からそう遠くない通りにあって、そこまでの1ブロックはまた違った雰囲気のお店が並ぶ。 「意外と雑多な場所」はごく短く100mほどの長さ。 ベトナム戦争の頃は風俗街でもあったこの地域は一方でサブカルチャーの対流する場所でもあり、米軍や地元ミュージシャンの匂いの濃いわりに妙に日本っぽさを感じる。 この「100m」も近年は外国人経営のお店が増えたものの、やはりこの「100m」を外れると急速に日本っぽさではなく、韓国やタイやベトナムや中国っぽさと匂いが変化する。 歴史と雑多さから行政はこの地域の混濁を一掃したがっていると聞く。 「日本っぽさ」の素は文字通り、ライブ・ハウスやディスコやラーメン店やとんかつ屋やスナックを経営してきた御歳70-80の日本人店主たちの踏ん張りが積み重なったもので、その「お店をやってる感」はすごくストレート。 かつては米兵同士のナイフを出しての喧嘩やら人種の違い故に他店からはじき出された米兵を受け入れたり、反社への対抗でゴッツい黒人のボディ・ガードを雇ったりと、割と暴力的だったり血生臭い話はぽつぽつ耳にする。 そうした諸々がだいぶ落ち着いての今、うまいこと店主たちの心意気が醸す「日本っぽさ」が残ってくれると面白いと思うのだけど。 911以降、米兵の来店が減って日本人との客の割合が変わってきたという今、この地域の特徴的な存在である米兵はブラジル人経営のレストランに集中していたりと、「日本人っぽさ」とサブカルとアメリカとがどこかアンバランスになってきている気もする。 老朽化している店々はいつかキレイになってゆく日がくるのだろうけど、そうした外観と各店の軌跡はどんな風に折り合いがついてゆくのか。