「美術刀」と掲げられた店名。 店舗移転だそう。 もう約ひと月前のことのよう。
このお店のショー・ウィンドウには弓や矢羽根などが並んでいた。 美術品だと言われても、刀を売っているお店なのでなかなか正面からは撮る気がしなかった。 声をかけて店内をと思った事もあったけど、やっぱりなんだか撮るに至らなかった。 刀剣店というちょっと希少な存在なので、営業は継続な点になんだかほっと。 というのもこの街、三味線屋さんとか、確か製作も請けていると思われるカバン店など、どこか不思議な雰囲気の漂うお店が幾つかあって、その、手作業を思わせる存在感が風景に面白みを加えていると思えるため。 この刀剣店もそのひとつで、こうした日常生活からやや離れた業種のお店がぽつぽつある感じもなんだか不思議。 そしてここはモルタルの看板建築だったのも面白みの一つだった。
ほか営業中のお店では、何年か前にテレビ番組で取り上げられていた、ほぼ全てのあんドーナッツが焦げている和菓子屋さん、水族館を名に冠した観賞魚屋さんなど、創業30-50年ほどと見える個性的なお店もまだまだ健在。
もう無くなってしまったお店では、白髪のおばぁちゃんを店頭によく見かけたオーダー・メイドのワイシャツ屋さん (おそらくお1人で切り盛り)、大柄で声の大きな年配の、なんでもござれな風貌の店主の時計屋さん、安価で絶品なアメリカ風の味付けのステーキを出す洋食店など、「ごく普通の佇まいのお店のなかに実は腕の良い職人が」的な名店が多かった。