あれ? パソコンで「たばこ」と入れて変換してみたら「煙草」という漢字が出てこなかった。 どこの国だったか、一生タバコを飲むことなく過ごすための法律が出来たとか出来ないとか。 ずっと昔の通勤電車は、多少の混雑程度ならば車内はタバコの煙があちらこちらから漂っていた。 今では想像しがたいが飛行機も同様に煙ったいくらいだった。 昨今は駅前に喫煙コーナーがあれば良いほうで、ロータリーの反対側に鉄道のコンテナ車を改造した喫煙コーナーがぽつりとあったりと、すっかり人里離れた --- と言うと大げさだが、おかげで街なかを歩いていてタバコの煙を吸い込まずに済むのはありがたい。 しかし、やや照明の暗い狭めの店内にタバコの小箱がたくさん並んでいるたばこ屋の風景や、かつて見かけた街角のたばこ屋の風景にはどこか惹かれるものがある。 この写真のたばこ屋さんはそうした集積感にプラスして、近寄るとパイプ・タバコの香りがして、それもまた興味を引く素。
パイプ・タバコも飲んだことはない。 これ迄のパイプ・タバコとの接点と言えば、学生の時に教授が嗜んでいたのみで、一度、モールに葉を買いに行くのに付いていったことがある。 タバコはどれも良い香りがしていて、2種類くらいをブレンドしていたような記憶。
さて良い香りだが吸い込む煙はどんな風なのか。 よくコーヒーの香りにつられて一休みでもと思い、そして実際に飲んでみるとあの香りほどの高揚感や安堵感には味ではなかなか出会えず白昼夢からでも覚めたかのような思いになることがある。 これが覚醒と言うなら、そのコーヒーは役割としては十分に効いたとは言えそう。 パイプはどんな感覚なのだろう。
たばこ屋という存在はなんだか遠くて、ついにこのお店も声をかけ写真を撮るに至らず閉店してしまった。 今の処、たばこ屋さんは神田で撮らせていただいた一軒のみ。 銀座のコリドー通りだったかにあったたばこ屋さんも無くなってしまった。 ほぼ常にこうしたたばこ屋の角は霞むほどに喫煙者が囲んでいるので、写真をという機会は案外少なく短い。