街なかの商業施設で、妖怪をテーマにしたフェスが行われていた。 テーマがテーマだけに異様な空気を感じる。 建物に囲まれたその空間は、西に傾き始めた陽光は届かず、通路に設えられた赤くてやや小ぶりな提灯の列は程よく不気味。 人は多くて賑わいを見せるもののなんだか賑やかな雰囲気がない。 どうもヒト以外の者が多数混じっているように思えてならず、思い返しても果たして自分は本当にそこに、お祭りの状態だった商業施設の広場にいたのかに自信が持てない。 実はヒト気もなく平素よりも閑散とした通路をトボトボ歩いていただけだったンじゃないかとも思う。 早々に引き上げたその場所に、久々に出店していた隣町のコーヒー・スタンドがあった。 顔は写らないし、お客さんがいてもいいかと、雲に隠れそうな僅かな日差しを惜しんで写真に撮る。 現実味があったのはこれくらい。
ここの処、天気予報で「北風」とよく聞く。 一昨日の夕方の風もたしか北風で、まるで「木枯らし1号だ」と思ったが、その後も強い北風に何度か遭遇している。 その年に初めて渡ってくる雁を「初雁(はつかり)」と言い、その頃に吹く北風を「雁渡し(かりわたし)」というのだそう。
「かり」とも「がん」とも読むらしい。 元旦を過ぎた頃の明け方に、いかにもそれらしく、Vの字をヨコにした様な隊列で水鳥の集団を遠く東の空に見ることがある。 「雁(ガン)かもな」と思いつつ西に向かう様子を望遠レンズで追いかけると、その場所からは急速に距離が開くでもなく、10分近くファインダーのすりガラス上でチラチラと羽ばたく小さな黒い点々が、やがてピントが掴めなくなるまで遠く飛び去って行く過程を楽しめる。 「いつまで(日本に)いるのだろう」と思いながら、例年いつしか見かけなくなる。 「雁渡し」--- 季節の言葉に、もう渡って来ている頃かと認識が混じる。 いっそう弱まった陽光に北風、紅葉もなく目立った変化は無いのだけど、この時期特有の季節観を思った。
"SL2-S" --- このカメラを購入して来週で1年。 きょう初めて「白黒モード」にして撮ってみた。 その中でも「白黒ハイコントラスト」を選択。 そして1回の撮影でRAWとJPGの2つのファイルが生成されるように設定。 撮影時のファインダー像も白黒に。 面白かったのは、カメラを白黒にしたことで脳みそも白黒で景色を見始めたこと。 ここ数ヶ月は白黒写真を多く作っていて、その時のカメラの設定はカラー。 カラーで撮った中から選んで白黒写真を作る。 いつもは色や造形やらのバランスに反応して風景を見るのだけど、今日は明らかに脳は光の濃淡で景色を見ていて、普段ならレンズを向けないような場面にもレンズを向けた。 何だこの違い!? JPGも書き出すようにしたのは、カメラが作り出す「白黒ハイコントラスト」を見てみたかったから。 そこには、思っていたほどフィルム・ライクな面白さは見いだせなかったが、既に歩きながら景色を見ている段階が「白黒視点」なのは意外な楽しさだった。 ミラーレス一眼ではなく一眼レフを白黒モードにして撮った方がより光を捉える楽しみを味わえるような気もする。 気がしただけだけど、ふとPENTAXのK-3 MkIII Monochromeが頭に浮かぶ。 どうなんだろう? やっぱり一度、「ひとつの露出で撮る」ってのをやってみようか。 シャッター速度と絞りを固定して、それにちょうどよい光を見つけて撮ってい行くという、ある意味トレーニング。 今日の感触では、白黒こそこのトレーニングは意味を成しそう。