2024-09-30

とある工房の風景

   焼き物の絵付けの道具?
   セラミックの板に写真を焼き付けるという仕事で信楽の窯元を訪れてから、もう10年ほどが経つ。 そんなに経ったのか。 思えばその最初の段階で紙への印刷のため印刷屋さん初めてお邪魔してからは約11年。 思ったより時が経っていた。 紙と焼き物とでは少し勝手が違って、焼き物の場合は色を出すために窯の温度という要素があって、これへの「勘」のような処がなかなか分からなかった。 銅が青緑、鉄は黒に発色、等々あれこれ丁寧に教えていただきつつ、難題だったのは朱色の部分で、金を含む絵の具で色の深みを出しているらしく、温度を上げすぎれば金が黒化してくすみ低ければ深みは出ずで、他の色とのバランスもあって本焼きの温度についてはだいぶ無理をお願いした気がする。 色味の決定までは、数十枚に及ぶサンプルを作成しつつ先方は何度も足を運んでくれた。

   今日の小さな作業台、始めはマッチ箱が気になって撮りだしたのだけど、絵付けの筆やら薬品やら、何かの実験台なのか未だ素焼きの湯飲みもどき、ほぼ黒の濃い茶色に発色したサンプルの花瓶などを見ていたら、あれこれ色々と思い出された。