2013-08-02

ここにあったもの


   ここに何があったのかが思い出せない。 この場を見る限りは最近まではコイン・パーキングだったようだ。 その前は...。

   今日は数人で動いていたので、「あっ」と思うものもあったのだが、一人で撮影に没頭するわけにも行かず、この1枚になった次第。

   東京光音 (とうきょうこうおん) という会社の見学に出かけた。 映画フィルムの修復やビデオ化、ビデオ化した映像のノイズ取りなどを行っているところである。
   その中で出た話で、2011年3月の東日本大震災で持ち主と離ればなれになってしまったビデオテープやDVDなどの修復の仕事があったのだという。 塩や砂を被ってジャリジャリになったテープを、シェルから取り出して洗浄し、再生出来る状態にまでするというのだが、砂というのは思いのほか入り込み、機械ものには非常に悪影響を及ぼすため、扱いは非常に繊細で、再生する機械に掛けられるようになるまでは、まさに根気勝負の毎日であったという。 それでも、全て流されてしまったという中に、こうした映像を届けると、それがその人々に力を吹き込むのだという。
   「本当にやりがいのある仕事だよね」と所長さん。

   いろいろなものが少しずつ、しかし大きく変化をしている。 1コマ1コマが捉えるもの、そうした「とあるひととき」は案外貴重なんだろうなと思う。 もっと時間を大事にせねば。