2024-02-19

祖父の作

   飛行機の製作に携わっていた祖父が、死期を覚ってか親戚へ渡すつもりで作った吊り燈籠のうちの1つ。 もう30年くらい前だろうか。
   第二次世界大戦の頃、中島飛行機 - 現スバルで飛行機を作っていた祖父は、その後も仕事に趣味的にも金属加工を行っていた。 70歳頃だったか、ステンレス板や銅板、それぞれ0.3mmから1mm厚と金物屋さんで購入してきて、鉄を叩いて治具を作り、台座の石垣を近所の石屋さんにお願いし、高さ2m強ほどの五重の塔を約4年半を経て完成させた。 その屋根の瓦の雰囲気の作り込みや反り具合や屋根の裏側の木材の組み方など、ずいぶんと寺院を見て回り、幾つも図面を描いていた記憶がある。 水上離着陸機のフロートの"R"(湾曲)の製作方法を考えついた話や、機体の焼き入れの話などを聞いたことがある。 その祖父の、最後のささやかな制作物がこの燈籠。 今となっては軒下で配線材やソケットがすっかり劣化してしまっているが、コンセントに繋げば電球がほんのり点るようになっている。 模様は格子に梅の木に家紋。