駅舎、と言っても跨線橋があるくらいで改札機が橋上にある無人駅。 10年くらい前には橋上の小さなブースに駅員さんがいて、その少し前の時期には駅員さんが階段下のホームで切符を手で受け取ったり確認したり。 その駅をロータリーから正面でと思っていたのだけど、まだ陽が南の方にあって半分が陰になっていたので違う面を。 奥の家は民間なので、極力身をかがめて最大限写りこまないように...。
駅の正面には、6年ぐらい前までだったか、細かな黒っぽいタイル張りの頑丈そうな建物があった。 どことなく駅舎っぽくない風体の駅舎。 かつては1本のホームの上下線の乗客はその駅舎内の改札を通っていた。 上り線の乗客は、下り線の線路を渡って駅舎へ。 そこは取り壊されたあと駐輪所となり、雰囲気としてはひっそりした駅前に。
特に変哲のない風景なのだけど、今から40年ほど前にはたくさんの人が行き来し、軽食を提供するスタンドが出るくらいだったらしい。 映画「スローなブギにしてくれ」に少しだけ出てくるそうしたシーンがこの塀と歩道の辺り。 最近ではすっかり薄まってしまった「アメリカ感」や「米軍基地感」の色濃かった頃に作られた映画で、そこに映る当時のこの界隈は「遠い外国」を感じられる「近い外国」の地だった。 今も残る「アメリカン・ハウス」やコンクリートの壁にはそうした面影が残って見える。 海外がすっかり身近になった昨今、今さら「基地の街」--- でもないかとも思いつつも、そうした基盤にある独特の文化圏のようなこの場所、やっぱり何か「特別」なものが見える気がして足が向く。