2024-12-01

武蔵野

   武蔵野の林にはコナラの高木が並び、少し見上げると光るような黄色い葉が空を覆い、更に季節が進むと地面には茶色の落ち葉が敷き詰められる。 どうやら人工林らしい。 本来は森の最終形であるカシの木が林立していてもおかしくなと思うのだけど、武蔵野の林の秋は緑ではなく黄色や薄いオレンジが多く占める。 コナラの木肌は白っぽく林の中は葉っぱに拡散された陽の光で少し明るい。 と言いつつ、撮ってみたくなったのは武蔵野とはやや傾向の異なる濃いオレンジ色の葉。
   北関東まで行くと赤松が多くなる。 赤松はおそらく原生林で、その中にコナラがちらほら。 その昔、10月半ばを過ぎるとカメラに広角レンズを付け色の濃くコントラスト高めのリバーサル・フィルムを詰めて、頃合いを見ながら通学路を遠回りして林の中を通る小径を行った。 そうして晴れた朝に色の濃い松の葉のなかに朝日に照らされた数本のコナラの紅葉途中の黄緑色と黄色い葉がステンド・ガラスのように際立って見えるのを狙った。 結局は思うように条件が揃わず、機会は2年ほどあったがとうとう初めて見た日の光景はフィルムに描くことができなかった。 今でも時々気になる風景。