最近、カセット・デッキを購入した。 おそらくいま製造しているのはTEACの一社ではないかと思う。
所謂ダブル・デッキで、2つのデッキは独立した制御系と録再回路を持っている模様。 この機は今年に入って製造終了となり、代わりにCDプレーヤーとカセット・デッキが一体となったモデルが発売された。 CDプレーヤーよりは、故障した場合の予備機の意味合いも含めたダブル・デッキのタイプをと在庫を探して購入。 価格はオーディオ機器最盛期からすると、機械的・電気的な中身の手の掛かり具合からすると若干割高感あり。 これだけデジタル・データがはびこり、アナログ・オーディオ最盛期ははるか昔の出来事なので、「ある」だけでも奇跡的。
「さすがTEAC」なのだけど、取説のスペックを見るとなかなかのがっかり具合。 例えば「周波数特性」、「最盛期」の機器は「20-20KHz」というのがごく当たり前で、世の中的にもその「フラット」さやら「伸び」やらがよく評されていた。 「WALKMAN」ですら「20-20kHz」は当たり前だったのだけど、当機、「ノーマル: 30-13KHz +/-4dB」なのだそう。 ヘッドフォン・ステレオにも大きく劣る数値で、40代後半の多くの人々の耳で聴くことの出来る上限の「14KHz」を想起。 つくづく10代・20代で「20KHz」の世界を楽しめたことを幸運に、しみじみとその贅沢な音の「鳴り」へ想いを馳せるという機会を、期せずして与えられてしまった。 「時代だなぁ」としか言いようがない。 ただ、機械としての作りは手慣れた風な安心感があり、音も芯がしっかりしていて、各所にTEACの「心意気」を感じることができる。 ただ..、やや気になるデジタル・アンプを想像させる「ハイ上がり」感。 アンプ部の性能の影響? しげしげと各部を見て回り、「これか?」と思ったのは「ヘッド」。 なんだかちっこい。 周波数特性が出ないのはこの影響ではないかと感じた次第。 これ元々の設計はオーディオ用ではないのでは? 等々、すべて憶測ながらもつい「この部分」に目が行く。
20年ほど前に「MP3プレーヤー」のブーム」があり、家電量販店の売り場では、道路に近い一等地を陣取っていた。 それら全般的に動作不良品も多く、音もどことなく窮屈な感じを思ったもので、この分野の完成度には不足感を思った。 そして今、Sonyはまだ「WALKMAN」を作り続けている。 もちろん再生するのはカセットではなくデジタル・データ、内臓アンプもアナログ・デバイスではなくてデジタル・アンプ。 最近発売されたSony NW-A300シリーズなどは気になる存在で、市場価格は4万5千円前後。 かなり高効率でデジタル・データを増幅してイヤフォンに送り込んでいると思われる。 価格的には適正感あり。 ここまで来ると、再生機の性能よりもデータのエンコーダーの音質が問われるンじゃないだろか。
スペック的にははるかに高性能な古いカセット・デッキ、修理してみようかなぁ。 とりあえずデータ化したいのが当面の目的ではあるけれど、やはり出来る限りの高性能な環境で記録された情報を少しでも多く引き出したいと思う。 復活、難しいだろうな...。