2023-05-31

地下道

   7-8年前だったか、この街にはもう1つ地下道があって、どちらも何らかの模様や絵が描かれている。 近年は自由気ままといった風な絵が多く、どこか他の地域から来たと思われる、やや年配の女性3人組がこの地下道を歩いていたとき、話に夢中だったうち1人が絵に気づき「あっ」と軽く声を上げた。 それで絵が視界に入った1人が、「はっ! ラクガキィーー!?」と、やや調子の外れた悲痛な声を出した。 括弧して「なんてヒドいことを!」と字幕が見えるような場面。 どうしても暗ったくなりがちな地下道には、案外ラフな雰囲気の絵が合うのかもしれない。 ただ白い壁でもよいのだけど、ここ、新たに絵を描くために一旦まっ白になったその2日後に、黒のスプレーで貧弱な落書きが幾つか書かれてしまっていた。