2013-09-03

ぷかぷか


   今日も関東だけが晴れマークの天気予報。 先日表示されていた台風は15号だったが既に次の台風のようだ。
   昨日よりも朝の空気は澄んで涼しい。 つい1週間ほど前にも涼しい朝があったかなぁと、うすぼんやりと重なる記憶がある。 もう陽がそこそこ昇っている時間でも虫の音が響いている。 空はといえば秋というよりは夏のなごりとでも言うかのように360°、遠くに入道雲が湧きあがっている。 今日よりもやや暑い印象があった昨日は、午後には雲は高くなり秋っぽかったが、今日の空にはあまり秋の景色が見当たらない。 「今日が入道雲を見る最終日だろうなぁ」と思い、ちょこちょこと車を停めてカメラを取り出してみた。
   残念ながら広角レンズを付けてきた分は雲が遠くて迫力に欠ける。 だが前に一度、それこそ広角レンズにピッタリの、空の上の方までぷかぷかと雲の広がる時があった。
   もう10ヶ月くらい前のこと、職場のお師匠さんが「今日の空見た!?」と目を輝かせ、少し興奮気味に訊いてきた。 「途中にある大きな橋でさぁ、こう、湾曲してるところを登ってったら雲がぷかぷか浮いてる景色が空一面!! こりゃぁジブリの世界だよ!!」と、西洋絵画とかを引き合いに出さず、ジブリというところが可笑しくて、思わず目の中をまじまじと覗き込んでしまった。
   ぷかぷか具合、今日はジブリっぽさあんまりないかなぁと思いながら、その日の事を思い出してみた。

   ジブリと言えば、昨日のニュースで「宮崎駿氏引退を表明」との事だ。 「今はメルヘンが作りにくい世の中になってきている」という発言がそのインタビューの中にあった。 確かに現実味が薄れ、惰性と形式論と現実離れした仮説が身の回りにたくさんあるのが「今」のような気もする。 それが高じて(?) 客観的な自分への視点が無くなってゆくと、これまで多くに人に訴える力があった「メルヘン」も、単に形式論でしかなくなってしまうのだろう。 本質がどうでもよくなってしまう人間関係というのは、案外厄介な気もする。
   中部大学の武田邦彦教授の言葉には、日本中みんながサラリーマン、学校を出た後にサラリーマンという人生しか見いだせない世の中なんですよね、という旨があり、それはおそらく、雇われる事が当たり前で、組織の中で組織の都合に則した価値観で形式的な事を進めてゆく世の中という意味だろうと思う。
   なにしろ日常生活に必要な大抵のものは発明・開発しつくされてしまっているし、今の20代の人たち以後は、何でも身の回りに既にあり、新たに物が発明されたり難問を越えて物が開発されるという経験もなく、ひたすら「買う」という行為で成り立っているとすれば、そのために「働く」という発想は不思議の無いところかもしれない。
   「こんどこういうのが出来たんだって!!」「へぇ〜」なんて会話は、懐かしい部類になってるのかも。

   近くの球場の脇を小川が流れている。 今日久々に立ち寄ったら、望遠レンズを構えている人が数人。 訊いてみると、カワセミを撮っているのだという。 その先にはサギだろうか、大きめの鳥がこちらの動きを注意深く見ている。 川面は青空の色を受けて濃い青色。

   雲がぷかぷか浮く日は、いろいろ思う日のようだ。