2019-09-08

台風前の遊飛行


   この1枚、普段ならカメラの画面を見て「NG」と判断しそうなオーバー露出だったが、思っていたよりも程よく収まった。 そこはさすがにSummicron。 そして意外なほどハイライトで粘ってくれたM8のCCDセンサーに感心。 「アンダー気味」ばかりが「アタリ」の定石ではないのだなぁ。

   台風15号がまっすぐにやってくる。 今日の午後から雨風が強まり、明日の未明まで暴風圏内との予報。
   午前、街なかを歩くと、「英会話・タイプライター」と看板を掲げる古い建物のディスプレイ・ウィンドウには、やや錆色のタイプライターと松ボックリの横に「ウヨシユウギョク」と書かれた札が置かれ、バレーボール位のサボテンの頂上に淡い黄色い花が咲いていた。 信号を渡って進むと、いつもは難しそうな表情のお茶屋の店主に声をかけられ、「ほら、トンボがたくさんいるんだよ。」、「秋だトンボだって、そんなの何処にいるんだ? と思ってたけど、はじめてだぁ、こんなの。」と、童心そのもののような笑顔をしていた。 その足元には、ピンクのユリ科の小ぶりな花がプランターに8輪ほどが満開で、うち1輪に、黄色い花粉とコントラストを成すように青い羽虫が止まった。 路地では、まもなく咲き終わりそうな濃いピンクのサルスベリが、地面に花びらを敷き始めていた。 小さな昔ながらの洋食屋さんの店先ではオレンジ色の八重咲きのバラが目を引いた。 カラスアゲハは路地の水たまりで水を飲み、羽根は少しボロボロだが踊るように羽ばたいていた。
   今日は「白露」。 秋らしい空気が景色を浮き立たせる頃。 今日・明日の台風が去ると、次の季節の色彩が濃くなるように思う。
   花や虫にとって、「今日」はどんな風に映っているのだろう。