2020-06-25

アサヒカメラ休刊


   休刊と言っても、「今後ずっとお休み」なのかも。 1926年以来、戦時中を除き94年間の刊行とのこと。

   「アサヒカメラ」、初めて買ったのは34~35年ほど前だったように記憶している。
   インクの匂いのする写真媒体。 面白い写真・新しい写真を求めてページを進め・戻すその「期待」感は、微かに送られてくる風のインクの匂いと至極相性がいい。

   今号、最盛期からするとややページ数は少ない様子ながら「集大成」的なまとまり。 一応、長い歴史を1冊に集約する上で、集めた要素から更に要点を絞り、削ぎ落とし、凝縮している印象があった。 しかし「去り際」としては案外さらっとして見えて、意外にもそれはどこか「写真っぽい」って思う感触があった。
   たかだか200年ほどしか無い「写真」の歴史。「写真」は、世界大戦や人権や近代社会の諸問題と、次々生まれる新しい社会問題とともに急成長した分野であり技術であるように感じる。そこには多岐に渡る「思想」や「文化」と呼ばれた「想い」の力があったのだと思う。 が、その「実体」を追ってみようと思うと、案外「想い」の範疇を脱出できない場合が多いように思う。 それら「想い」には、おそらく「永続性」はあるけれど、表現そのものはどこか刹那的。 もしかすると「表現」なんて考えずに切られたシャッターも少なくないのでは?
   「状況」✕「想い」ー「実体」✕「表現」= 残ったのが、インクの匂いもまだ生々しい今号のアサヒカメラに感じた(写真という媒体の性質的な)「去り際」なのかも。

   写真は、本屋さんでの会計時のもの。